「札幌タイガースにすればいい」

高校時代の山岳部夏合宿での話題だった。当時まだバブルが崩壊していなかったが、既に阪神タイガースが最下位を繰り返したりと低迷しており、球団買収の噂もちらほら出ていた。そんな中、アサヒやサントリーといったビール会社による買収の噂が立っていた。そこで私がその話題を出すと、先輩が次々と「アサヒタイガース」とか「サントリータイガース」と名を挙げた。そこで阪神ファンである引率の顧問の先生が「サッポロビールが買収して札幌タイガースにすればいい」と言ったのである。

タイガース買収の噂は上記だけに止まらず、何と佐川急便までもが買収して「佐川タイガース」なんていうのもあった。今思えば運送会社がタイガースを買収するなど1000年早い様なものである。他にも色々ありきりがない程である。「松下(現パナソニック)タイガース」とか「象印タイガース」など、佐川も含めて関西の企業が多かった様である。又、当時パ・リーグではダイエーが南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)を、オリックスが阪急ブレーブス(現オリックスバファローズ)をそれぞれ買収してからそれ程経っていなかった。更にホークスは買収の際本拠地を大阪から現在の福岡に移転している。

どうしようもなく弱くなってしまったタイガースが生まれ変わって強くなってもらいたいという願望に加え、北海道へプロ野球球団が来て欲しいという願望も加味されたものだろう。当時はまだ札幌ドームができておらず、現在の札幌ドームとは別である「ホワイトドーム」構想があった時代である。が、その構想は一旦白紙となり、現在の札幌ドームの案に変更されて2001年に完成した。

いくらタイガースが低迷していたとはいえ、あれだけの人気球団を買収するなど並大抵な事ではない。ましてや、北海道移転なんて今思えばあり得ないのではないだろうか。現にタイガースは決して赤字経営ではなかったのである。当時の経営戦略では黙っても人が集まるタイガースにあまり投資せず、阪神グループ全体を黒字運営していたのである。ファンからみれば面白くないものであり、まさにファンを無視した経営戦略なのであるのだが。

それこそ、北海道移転はセ・リーグの人気球団ではなく、パ・リーグのあまり人気のない球団が行うのが現実的だろう。それも関東・関西(当時)などライバル球団がひしめいている地域だろう。現に2003年オフに日本ハムファイターズが本拠地を東京から札幌に移転したが、これまで本拠地は東京ドームで間借り状態だった。

余談だが、韓国ではサムスン・LGといった電気製品製造会社や現代・起亜といった自動車製造会社が過去を含め、プロ野球球団を持っていたりしている。それに比べ、日本では製造業が球団を持つ所はより少ない感じがする。しかしながら、上記のタイガース買収に名乗りを上げた企業は製造業が多い。ちなみに現在韓国では起亜タイガースであるが、日本とは違いここ10年以内に買収したものであり、前はヘテタイガースだった。

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