今季の楽天・日本ハムは「18番」の差が出た

今年のプロ野球は創設9年目でこれまでAクラスが僅か1回しかない楽天イーグルスが初優勝を決めた一方で、楽天が創設されてから4度のリーグ優勝と1度の日本一を達成し、昨年も優勝した日本ハムファイターズは一転して最下位に沈んでしまった。しかも、それぞれのチームのエースナンバーである「18番」の活躍の差がチームの成績に見事に反映する形となった。言わば世間で大きくなってきていると言われている「マー君」こと田中将大投手と「佑ちゃん」こと斎藤祐樹投手との差である。そして改めて絶対的エースの必要性が感じられるものとなった。

今シーズンマー君は24勝0敗1セーブというとてつもない成績を挙げ、昨シーズンからの28連勝と合わせて世界記録にもなった。その記録的な成績が楽天優勝に大きく貢献した事は言うまでもない。20勝目を達成した時に「本当に欲しいものは優勝」とヒーローインタビューで答えていたが、弱小球団に入団しAクラスが1回しかないだけに、まさに優勝に飢えていた事を物語る。今シーズン投げ合う事はなかったが、最早佑ちゃんは足元にも及ばないだろう。

一方、佑ちゃんは右肩関節唇損傷で二軍での調整が長引き、終盤に一軍で1度登板したもの、今季未勝利と全く貢献できずに終わった。昨年は開幕投手に抜擢され、見事勝利してスタートダッシュを成功させ、優勝の原動力にもなった。入団してからエース候補とされてきたが、シーズンの成績はそれぞれ6勝6敗・5勝8敗そして0勝1敗と実に寂しい成績だ。一昨年のドラフトで引き当てたが見事に入団拒否され、昨年のドラフトで意中の巨人に入団し、今季13勝を挙げた菅野が羨ましいものだ。来シーズンは栗山監督同様崖っぷちだ。

昨シーズンはそれまで絶対的エースだったダルビッシュが抜け、更にドラフト1位で指名した菅野に入団拒否されたにもかかわらず、スタートダッシュの成功や吉川の台頭もあってリーグ優勝を成し遂げた。加えてコーチ経験もない栗山監督の就任であり、1年目としてはでき過ぎと言えるものである。だが、今シーズンは吉川をはじめとする先発投手がことごとく不調で、2桁勝利が1人もいないという惨状だ。それだけに絶対的エースをいち早く育てなければならないが、今後斎藤がダメなら大谷に代えるべきだろう。

楽天も田中がメジャーに行って抜ければ、当面はルーキーながら開幕投手に抜擢され、15勝と優勝に貢献した則本がエースとなり得るだろう。しかし、それに続く者が出てこない事には連覇は厳しいものであり、下手すれば上位進出も危なくなるので安閑としてはいられない事には変わりない。

楽天参入以降、パ・リーグではオリックスを除く5球団がリーグ優勝に輝き、西武を除く5球団が最下位に沈んだ事になる。これまで横浜・DeNAの5年連続最下位をはじめ、下位が固定されてきていたセ・リーグとは大違いである。楽天は参入当初こそ最下位が定位置でしたが、マー君が入団してどんどん力を付けていき、最早他球団に舐められる球団ではなくなってきた。まさにどの球団が優勝・最下位になってもおかしくないまさに戦国時代の様相になってきている。

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